医療関係へ
2002.04.22 作成

[1031] 骨折を防ぐために

以下の情報はNational Parkinson Foundation からです。
エブラハム・リバーマン医師 NPF医局部長/著

パーキンソン病では、身体のバランスが悪くなる、すり足歩行になる、突進しやすくなる、すくみ足など歩行障害が出るため転ぶことが多くなります。また、起立性低血圧によるふらつき、椅子からの立ち上がりの際のバランスのくずれなどで転ぶこともあります。

 ヤール1,2度の患者では、歩行中の転倒が多いのに対し、ヤール3〜5度の患者では、方向転換時、歩行開始時、立ち上がり時というような動作の転換時に転倒が多くなります。さらに、転ぶときにも身体の動きが鈍いため、うまく転べず骨折することがあります。重症度が高くなるほど骨折の危険性も高くなります。
骨折の中でも、特に大腿骨頸部(足の付け根)骨折は約40%が寝たきりの原因となると言われています。
また、女性では更年期になると女性ホルモンのエストロゲンが急激に減少するため、骨がもろくなり、骨折しやすくなります。

1.骨を丈夫にするために -食事の注意

カルシウムを取るように心がける(1日800〜1000mgを目標に)。

 牛乳及び乳製品はもっとも優れたカルシウム源です。牛乳1本には約200mgのカルシウムが含まれてその吸収率も高いのです。牛乳及び乳製品を就寝前に取るのが有効です。
 小魚もカルシウム源として重要です。ただし、塩分の多い干物よりも新鮮な小魚を調理して食べる方がカルシウム源として有効です。
 海藻類; ひじき、わかめ、昆布、のりもカルシウムが豊富です。
 緑黄色野菜 (小松菜、にら、ブロッコリー、大根の葉など)をタンパク質と一緒にたべると、カルシウムの吸収がよくなります。
ほうれんそうなどのようなアクのつよい青菜はカルシウムの吸収を妨げます。
 大豆製品; 大豆、とうふ、がんもどき、きなこなど。
 特に納豆は骨の形成を促すビタミンKが通常の食品の何百倍も含まれているのでお勧めです。

ビタミンDを一緒に取ってカルシウムの吸収を高める。

 ビタミンDの豊富な食品:乳製品、レバー、卵黄、背中の青い魚(さんま、いわし、さばなど)、ごぼう、キノコ類(特に干しシイタケ)など。

良質のタンパク質も必要。

加工食品はリン酸塩を多く含むためカルシウムの吸収を妨げます。

塩分と食物繊維はとりすぎないように注意する。 カルシウム入り補助食品、錠剤などは食後にとるようにし、空腹時は避ける。

2.骨を強くするために- 運動も重要

 運動して骨に負荷がかかることにより骨の代謝が活発になる。
 とにかく手足をこまめに動かす。散歩や水中を歩くのも効果がある。

3.骨を強くするために- 日光に当たるようにする

 日光に当たることで皮膚でのビタミンD合成が促進され、腸からのカルシウム吸収が活発になると考えられる。

4.骨を強くするために-薬などによる補助的手段

女性ホルモン補充療法

閉経後の女性にエストロゲンを薬として補充することにより、腸からのカルシウム吸収を増大させ、骨量を増加させることができる。

5.転倒を予防する- 歩くときの注意

いきなり立ち上がらない。

雨の日、特に雪の日の外出は避ける。

歩きやすい履き物をはく。スリッパ、草履は避ける。ウォーキングシューズがよい。

歩くときはできるだけ両手を自由に、踵から足をつけ、ゆっくりと歩幅をひろげて歩く。

姿勢が前かがみにならないように注意する。
 背筋を伸ばし、遠くを見て歩くように心がける。

 歩くときには歩くことに意識を集中するようにする。

 玄関口、タクシーや自家用車の乗り降り時にすくみ足が出て転倒することがあるのであらかじめ用心する。

緊張したり、焦る気持ちが転倒の原因になりやすいので、ゆとりを持って物事をするようにこころがける。

6.転倒を予防する-住まいの環境を整える

つまずきの原因を減らす;敷居の段差、床を走る電気のコード類、部分的に敷いてある絨毯など、無造作に置かれた座布団や小物類、床に落ちた新聞・雑誌類、配置の悪い家具・ソファー類などに注意する。

立ち居振る舞いができるスペースをできるだけ広く確保する。

トイレは洋式にし、手すりをつける。
 滑りにくい床材を使う。ドアは引き戸がよい。
寝室からトイレの間の廊下には夜間照明を。

廊下に物を置かないように。

浴室の段差をなくす工夫を。手すりをつける。
 浴室のタイルに石鹸水やシャンプーの泡を残しておかないように注意。

足元に物を置かない。

階段には手すりをつけ、勾配はゆるやかに。段差は低めに。滑り止めを施す。

7.転倒防止のための運動

 転倒の予防には下肢の筋力トレーニングが効果がある。

  踵を上げ下げする
  何かにつかまってしゃがんで立ってをくりかえす 
  仰向けに寝て、おへそをのぞき込むようにして膝を立てて上半身を起こす など。
簡単な体操を毎日続けることによって歩行も改善されるようになる。

また バランスの訓練も効果的である。(パーキンソン体操も参考にして下さい)
  足首の回旋運動、股関節・アキレス腱等のストレッチング、スクワット、身体のバランス訓練などが有効。
  足の筋力と感覚を鍛えるための足指じゃんけんもよい。
  散歩やエアロビクス、水中歩行などを無理のない程度にする。
  太極拳が効果があったという報告もある。( 補助療法参照)

新しい取組み

 転倒による自信喪失、さらに再転倒に伴う外傷や疼痛(痛み)への不安・恐怖心が原因で外出や運動を控える人がいるが、運動量が減ると、さらに骨萎縮と身体機能の低下が起こり、ますます転倒・骨折しやすくなる、という悪循環に陥る。
パーキンソン病に限らず、一般の高齢者にとっても「骨折の予防」は重要な課題であり、積極的な研究・対策の取り組みが進められている

8.転倒予防教室,転倒外来

「転倒予防教室」「転倒外来」を持つ病院が増えている。これらは全身の健康を総合的に把握し、それに基づいて、転倒防止のためのリハビリ運動の指導も行っている。

9.転倒補助具

転倒したときに骨折しないようにプロテクターを着けるのもよい。
大腿骨頸部骨折の予防のためにヒッププロテクターもある。

●参考文献 「骨粗鬆症の防ぎ方・治し方」石突正文/著、家の光協会
  「転倒の予防」奥泉宏泰他:Clinical Rehabilitation :338-342, 2001
●参考●「転倒予防教室」「転倒外来」
 東京都板橋区の老人医療センターに併設する「都立老人総合研究所」は、高齢者が自立した生活を送ったり、生活機能を維持していくうえで必要な体力の測定や評価、その他高齢者の健康についてさまざまな研究を行っている。
転倒外来にも取り組んでいる。ホームページは http://www.tmig.or.jp/J_TMIG/intro/ippan/s27.html
高齢者の転倒予防を目指す運動プログラム(htm版とpdf版)がダウンロードできる。

ヒッププロテクター
 国内では下記3社で開発・改善に取り組んでいる。
 グンゼ http://www.rakuten.co.jp/gunze/326562/418917/
 TEIJIN http://www.teijin.co.jp/japanese/news/2000/JBD00404.htm
 geltec http://www.geltec.co.jp/example/exa_02.html
●原稿担当●よしこ

Apple Top Page医療関係ページのTOP●   ご意見・ご質問はAppleカフェ