2001.11.21 作成
医療関係へ

[1028] 女性ホルモンとパーキンソン病

女性ホルモンは妊娠や出産に関係するだけではなく他の臓器に対しても色々な働きをしているということが分かってきました。

エストロゲンが作用する主な臓器とエストロゲンの低下によっておこる症状は以下のとおりです。
エストロゲンが作用する主な臓器エストロゲンの低下によっておこる症状
のぼせ、精神症状、記憶障害
乳腺縮小、弾力性低下
骨粗鬆症、腰背痛
皮膚萎縮、掻痒感、脱毛
臓・血管動脈硬化、狭心症
泌尿・生殖器外陰萎縮、不正出血、性交障害、排尿障害
以上、暮らしの手帖 別冊 健康をつくる 2000年版 「女性のからだと健康」より

 女性ホルモンとパーキンソン病の関係について

あまり詳しい報告がないようです。
ただ生理、妊娠・出産、更年期などで女性ホルモンが不安定になると抗パーキンソン薬の効果が落ちたり、不安定になったりすることは知られているようです。

生理

カリフォルニアのサニーヴェール・パーキンソン研究所のキャロライン・ターナー医師によると、ほとんどのP病女性患者は、生理の前、あるいは生理の前と生理期間中にP病の症状が悪化するが、これは単に抗パ-キンソン薬が効かなくなっただけのようです。
個々のケースにより異なるが、悪化した時だけ、シネメットの量を少しだけ増やしたり、他の薬を投与したり、酒、たばこ、カフェイン、極度に甘いものを生理周期後半 (during the second half of menstrual cycle)に避けることにより、症状の悪化を回避できた例もあるので、主治医に相談してみるよう薦めています。
規則的な運動とリラックスすることも症状の改善に効果があるそうです。
(アメリカ・パーキンソン病協会発行の1995 Young Parkinson's Handbook

更年期

オレゴン・ヘルス・サイエンス・ユニバーシティの登録正看護婦ジュリー・カーターによると
更年期の女性にも ホルモンのアンバランスにより生理前の女性と同じように薬の効きが悪くなることがある。
ホルモンのバランスをできるだけ保つことが大事で、産婦人科医にも相談するとよいとのこと。
更年期がおわったり、またホルモン補充療法によってホルモンが安定してくると、抗パーキンソン薬も普通に効き始めるといっています。
(アメリカ・パーキンソン病協会発行の1955 Young Parkinson's Handbook)

妊娠・出産

妊娠、出産についても個人差があります。
3回妊娠して症状の悪化は全くなかったという例もありますので、ケースバイケースで前向きに取り組む必要があります。
ただ、妊娠前、妊娠中のパーキンソン病治療薬の内服に関しては安全性が確立されていないので注意が必要です。
神経内科及び産婦人科の主治医とよく相談して下さい。

パーキンソン病治療薬と妊娠

パーキンソン病は中年以降に発症する病気ですが、日本では20代での発症の患者もかなりいるようです。 その中には発症後妊娠・出産を考える人もいると思います。 ごくわずかの人たちかもしれませんが、その人たちにとって内服中の治療薬の影響はとても気になるものです。
シンメトレル妊婦、授乳婦に禁忌
パーロデル妊娠中毒症、産褥期高血圧に禁忌
カバサール妊婦に禁忌
ドミン妊婦に禁忌
ドプス妊婦に禁忌
以上、「今日の治療薬 2001」南江堂 より


その他のクスリでも100%安全性が確立されているわけではありません。
妊娠中の投薬とそのリスク
http://www.e-medinavi.com/i-mode/ninshin/kusuri7.htm

 エストロゲンとパーキンソン病の関係について

エストロゲンとパーキンソン病の関係について、NPFから以下のような資料が出ていました。 エール大学の研究チームによると
「サルの実験でエストロゲンがなくなると脳のドーパミン・ニューロンが約30%死滅する。
エストロゲンがなくなって10日以内にエストロゲンを投与すれば細胞はよみがえるが、30日たって投与しても細胞はよみがえることはない」という。
「このことはエストロゲンの少ない男性はエストロゲンの多い閉経前の女性よりパーキンソン病の発症率が高く、また閉経後の女性はパーキンソン病の発症率が高いという事実と一致する」。
この結果、閉経後の女性のホルモン補充療法も有効と考えられるが、すぐにホルモン補充療法に走るのは時期早尚である。
より長期にわたって、エストロゲンが分泌されない時の、ドーパミン・ニューロンへの影響についての更なる研究を待ったほうが良い、
と言っています。
 また、エストロゲンが分泌されなくなって30日目、あるいはそれ以降に、エストロゲンと他のホルモンが大量投与された場合、神経細胞を蘇らすことができるかどうか、 は研究者の関心事となっています。

パーキンソン病初期の患者にエストロゲンを補充してやると症状を軽くすることが出来た、という報告
http://www.wemove.org/emove/article.asp?ID=62 もあります。

最近、ヤール1〜4度のパーキンソン病の更年期の女性患者を対象に、パーキンソン病症状とL-ドーパの効果に対するエストロゲンの影響を調べる調査が行われようとしています。
http://www.parkinsone-information-exchange-network-online.com/archive/104.html

経口避妊薬とセレギリンの同時服用は避けた方がよい

、と指摘する報告があります。
(K.Laine,et al、J Clin. Pharmacol. 47:249−254.1999)

ヴェニス・オーストリア第4回ヨーロッパパーキンソン病協会会議(2000年11月9-12日)

にて、P病女性患者にとって明るい報告がありました。
シェーラ・ロイという人が女性のパーキンソン病患者を対象に行った 妊娠、生理、ホルモン補充療法(HRT) 子宮摘出・両卵巣摘出等を含めた女性ホルモンが変化する時期の病状の変化に関しての調査 です。
合計718人の女性(メールを発送したのは2565人)からの回答の結果、 女性ホルモンに変化が起きる時は症状にも広く変化が起こることがわかりました。
多くの女性がパーキンソン病の診断を受けた後に妊娠して、出産に成功した」
という報告から、
「出産に関しては躊躇する必要はない」
という興味のある結果が報告されています。
子宮と両卵巣摘出は深刻な副作用があるので、残った機能とのバランスを考えて決断を下したほうがよい。
「この調査は-ヴェールのホンの一部をはがしただけ」と言っており、女性ホルモンとパーキンソン病の関係は女性患者の考え、生き方を理解する上で重要な問題と言えます。
http://www.shef.ac.uk/misc/groups/epda/vienna/viennar.htm

更年期に読みたい本 (暮らしの手帖 別冊 健康をつくる 2000年版 女性のからだと健康より)

  • 『海からの贈りもの』 アン・モロウ・リンドバーク著、 落合恵子訳 、立風書房
  • 『沈黙の季節』 ゲイル・シーヒー著、 樋口恵子訳、 飛鳥新社
  • 『独り居の日記』 メイ・サートン著、 武田尚子訳、 みすず書房
  • 『つい頑張りすぎる女性のための本』  アン・ウィルソン・シェフ著、斉藤学 監訳、大和書房
  • 『メノポース革命』 落合恵子著、文化出版局
●原稿担当●よしこ・ISOISO

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