2001.08.01 デザイン変更●2014.9.23再構成
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[1023] 日本における再生医療の規制について

1.クローン規制法(ヒトに関するクローン技術等の規制に関する法律)について

1997年のクローン羊「ドリー」誕生の発表を受け、政府は科学技術会議に生命倫理委員会を設置。
人クローン個体産生に対し罰則を伴う法規制をすべき事を決定した。
これを受けて2000年10月に法案が国会に提出され、同年11月30日に成立した。
クローン規制法では、人クローン胚を人または動物の個体の胎内に移植する(クローン人間を作る)事を禁止している。
また、人クローン胚(人の体細胞であって核を有するものが人除核卵と融合することにより生ずる胚) およびこれに類似する胚(特定胚)の適正な取り扱いの確保のための措置を講ずることとしている。
クローン規制法に違反したものは懲役または罰金が課せられる。

クローン規制法及び クローン規制法及びその概要   (文部科学省作成)

法律の本文・・・ http://www.mext.go.jp/a_menu/shinkou/seimei/honbun.pdf
法律の概要・・・ http://www.mext.go.jp/a_menu/shinkou/seimei/tuite.pdf

2.ヒト胚性幹細胞(ES細胞)について

基本的な考え方

ES細胞を使用する研究ではクローンとは異なり、新たな生命を誕生させるわけではなく、その点で倫理的問題を生じさせることはないが,ES細胞の由来するところに鑑み、慎重な配慮が必要である。
ヒト胚性幹細胞を扱う研究は,その過程でヒト胚という人の生命の萌芽を扱うと言う倫理的な問題があるものの、ヒト胚自体は現在のところ法的な権利主体とまでは言えないこと、ヒト胚性幹細胞それ自体は個体の産生につながることはなく罰則を伴った法律による規制が不可欠なものではない。
また、ヒト胚性幹細胞の研究は、まだ始まったばかりであり実績もほとんどない分野であることから、技術的な進展に柔軟に対応していくことが必要であり、研究者の自主性や倫理観を尊重した柔軟な規制の形態を考慮することが望ましい。
このような考え方の下、ヒト胚性幹細胞の研究については、強制力のないガイドラインと言う形によることとして、現在、文部科学省において策定中であり、今夏にも発表されるものと見られている。ガイドライン内容はおおむね次の通り。

ヒト胚性幹細胞の樹立の要件

  • ES細胞を作るためのヒト胚は、不妊治療に際して生じ、やむを得ず廃棄される余剰胚に限定されるべきである。
  • 当初からES細胞を作るために精子と卵子を受精させてヒト胚を作成することは認めない
  • 現時点では、ヒトクローン胚からのES細胞の樹立は行なわない
  • 凍結期間を除き、受精後14日以内のヒト胚を使用すること
  • ヒト胚の対価が無償であること
  • 必要と認められる数以上のヒト胚の提供を受けないこと
  • ヒト胚のドナーからのインフォームド・コンセントが適切に取得されその内容にのっとって使用されること

ヒト胚性幹細胞樹立の手続き

ヒト胚の提供医療機関とES細胞樹立機関にそれぞれ倫理審査機関が置かれ、樹立についての意見を述べる。委員は専門家、見識者、一般人から成り、外部者及び女性が含まれていなければならない。
樹立機関の倫理審査委員会の承認が得られた樹立計画については、更に文部科学大臣の確認が必要とされ、文部科学大臣は、ガイドラインへの適合性の確認に当たって、科学技術・学術審議会の意見をもとめる。

ヒト胚性幹細胞を使用する研究の要件

当面,ES細胞を用いた研究は、ヒトの発生、分化再生機能などの解明を目的とした生命科学の基礎的研究、または、新しい診断法や治療法の開発や医薬品開発のための医学研究に限られる。ES細胞の臨床利用に関する基準が定められるまでは、ヒト個体へのES細胞およびその分化した細胞、組織等の移植による臨床研究は認められない。

3.体性幹細胞(造血幹細胞など)について

ES細胞と並んで再生医療の材料として有力視されている体性幹細胞については、もうすでに臨床研究に着手されようとしており、厚生労働省は、体性幹細胞の臨床研究についてのガイドラインを策定しようとしている。

参考文献●文部科学省「ES細胞について」「ヒト胚性幹細胞を中心としたヒト胚研究に関する基本的考え方」
「ヒトES細胞簿樹立及び使用に関する指針の解説」 「クローン技術規制法について」
●原稿担当●ハトポッポ
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