2002.10.05 デザイン変更

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手術療法―定位脳手術
淡蒼球破壊術 視床破壊術脳深部刺激療法

 近年パーキンソン病に対する外科的治療が注目されています。

 歴史的にみると、視床破壊術が最初に行われ、その後淡蒼球破壊術がよく行われるようになってきました。しかし最近では淡蒼球破壊術が下火になり、世界の趨勢は脳深部刺激療法に向かいつつあるようです。

 パーキンソン病の治療法としての第一は内科的治療です。

 内科的治療で十分に効果が得られない場合に手術療法が考えられます。

A.淡蒼球破壊術  Pallidotomy

 1990年ころから行われるようになった手術方法です。

 アメリカを中心に全世界で2,000例以上、日本でも数百例の手術が行われています。

 脳の淡蒼球とよばれる部位のを電気凝固する方法で、局所麻酔で行われます。

●適応(武内による)

1. レボドパによる治療を原則として5年以上行った患者で、wearing-off があらわれてきており、オン・オフがはっきりしているもの(レボドパの効く時間があること)

2. オン・オフ現象がなくても著明な不随意運動(ジスキネジア)があるもの

3. オン状態で自立生活のできるもの(ヤール2,3,及び4の一部)

4. MRIで脳萎縮の著明でないもの

5. 年齢が70歳以下

●効果;個人差がかなりあります。

1. ジスキネジアに対しては非常に有効で、手術直後より消失します。ジスキネジアはいったん消失すればその効果はかなり持続するようです。

2. オン・オフ(日内変動)に対しては数日後より次第にオン・オフがはっきりしなくなり常にオンの状態になります。しかし日内変動はそのうちにまたでてくることが多いようです。

3. 振戦は軽減しますが、薬を中止すると再び現れてきます。

4. 一側性固縮性歩行障害に対しては有効。

5. 幻覚に対しても有効です。

6. すくみ足、よだれ、突進歩行は悪化することがあります。

7. 抗パーキンソン病治療薬の投与量は術後もそれほど変わらないのが普通です。

8. 副作用として疲労感、眠気、記憶障害、鬱状態、視野障害、軽度の顔面マヒ、言葉がしゃべりにくくなることがあります。特に両側の淡蒼球破壊術によりよだれが多くなることがよくあるようです。

B.視床破壊術  Thalamotomy

 1950年頃から行われている手術です。

●適応

1. 薬物で振戦がコントロールできないもの、かつ一側性のもの。両側性の場合は一側の手術の術後約6ヶ月後に反対側の手術が行なわれます。

2. 筋固縮のつよいもの、深部痛などのつよいもの。

3. ジスキネジアのつよいもの。

4. 年齢は70歳以下。

●効果 

1. 振戦には非常に有効で、消失した振戦は再び現れません。

2. 筋固縮にも著明な効果があります。

3. ジスキネジアにも有効です。

4. 手術した側の反対側へ身体が傾くようになることがあります。

5. 術後に薬の投与量が2/3?1/2に減量できる例があります。若年発症の両側手術例では術後に全く薬が必要なくなった例もあるそうです。

6. 効果はかなり長く持続します。

C.脳深部刺激療法 Deep Brain Stimulation=DBS
 フランスで最も多く行われている手術です。

 脳深部(視床、淡蒼球、視床下核)に微小電極を埋め込み、ペースメーカーに似た機械で電流を流して症状をコントロールするものです。

●特徴

1. 両側を刺激することができる。

2. 安全である。

3. 副作用があまりない。

4. 電極の埋め込みは技術的にかなり難しいものです。

●適応

1. パーキンソン病であること。パーキンソン症候群は適応外です。

2. レボドパによる治療に反応することが必要です。レボドパに反応しない例では治療効果は望めません。

3. 日内変動、ジスキネジアの激しい患者。

4. 副作用が激しくて薬による治療を続けられない患者。

5. 記憶障害がないこと。

6. ペースメーカーを使用していないこと。

7. MRIで異常がないこと。

8. 年齢;視床刺激では年齢制限なし。淡蒼球刺激および視床下核刺激では70歳以下。

●効果

1. 視床刺激療法は振戦に対してのみ有効で、その他の症状に対しては効果はありません。ふつうは一側のみ刺激します。効果は長期にわたって継続するようです。

2. 淡蒼球刺激および視床下核刺激療法は振戦、動作緩慢、固縮、歩行障害に有効で、ふつう両側におこなわれます。

3. 淡蒼球刺激はジスキネジアに有効ですが、視床下核刺激(STN?DBS)ではジスキネジアには効果がみられません。

4. 淡蒼球刺激では術後も薬の量はかわりません。視床下核刺激では術後の薬の量はあきらかに減ります。

5. 後遺症としては脳内出血、感染、機械の機能異常、電極が移動、皮膚のびらんなどがあります。

●参考文献   武内重二ほか:破壊術の実際と適応.日本臨床58:2072-2077,2000

横地房子:定位脳手術療法.カレントテラピー17:1234-1239,1999

Rajesh Pahwa:Parkinson's Disease and Deep Brain Stimulation Surgery : Who Are Candidate For This Procedure. National Parkinson Foundation: http://www.parkinson.org/dbs2.htm>

●原稿担当●Sophia

脳深部刺激術(DBS)の体験記を掲載しています。医学情報およびDBSについての説明もお読みください

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