2001.08.01 デザイン変更

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遺伝子治療について
遺伝子治療とは
疾病の治療を目的として遺伝子または遺伝子を導入した細胞を人の体内に投与すること」 (厚生省のガイドラインによる)
をいう。

現在の遺伝子治療対象疾患は
致死性の遺伝性疾患、癌、エイズなどの生命をおびやかす疾患で、他の治療法と比較して遺伝子治療臨床研究を実施することによる有効性・有用性が十分予測される疾患(同ガイドライン)
とされている。

 最近のパーキンソン病に対する治療法のひとつとして幹細胞移植などの移植治療が注目を浴びているが倫理的な問題など避けてとおれない問題もある。そこで将来的に、より大きな可能性をもった治療として遺伝子治療の応用が注目されるようになってきた。
 数多くの神経変性疾患のなかでもパーキンソン病は遺伝子治療に適している代表的疾患とみなされており、今後の進歩が期待されている。
現在のパーキンソン病に対する遺伝子治療の動き
1.L-DOPA補充療法よりも効果的に線条体のDOPA濃度を上げようとするもの(ドーパミン合成酵素遺伝子を用いる方法)=対症療法的アプローチ

 ドーパミンは次のような過程で作られる。

 この第一段階に働くチロシン水酸化酵素(TH)、第二段階に働く芳香族アミノ酸脱炭酸酵素(AADC),さらにTHの補酵素として働く物質の合成経路に関わる酵素のそれぞれを作り出す遺伝子をアデノ随伴ウィルスをベクターとして用いて脳内に送り込む方法が最新の動物実験で行われている。
 このベクターは安全性が非常に高く、また比較的長期の遺伝子発現を期待できると.いう特徴がある。欠点はベクターを作製すること自体が難しいことで、臨床レベルでのベクターの大量作製システムの確立が今後の課題といえる。
またウィルスの使用による癌発現の可能性なども否定することが必要となるであろう。


2.パーキンソン病の進行を遅らせようとするもの(ニューロン保護作用をもつ神経栄養因子の遺伝子を用いる方法)=神経保護療法的アプローチ

 パーキンソン病のL-DOPA補充療法も長期になってくると薬効の減弱やその他の副作用がでてきてコントロールがむずかしくなってくる。
 そこで神経細胞の保護を目的とした治療法が考えられている。それが、神経栄養因子であるBDNFやGDNF遺伝子をパーキンソン病の遺伝子治療に応用しようというものである。

 遺伝性のパーキンソン病に関しては遺伝子レベルでの研究が進んでいる。

 常染色体性劣性若年性パーキンソンニズム(AR-JP)に関するパーキン遺伝子、常染色体性優性遺伝を示す家系で異常がみられたα-シヌクレイン遺伝子などがわかってきた。
これらの遺伝性のものについても遺伝子治療の可能性が今後期待される。

●参考文献
1.小川松夫:遺伝子治療の将来.カレントテラピー 17:1249-1252.1999
2.小澤敬也:遺伝子治療の実現に向けて.細胞工学 18:828-833.1999
原稿担当●よしこ

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