2003.11.06 更新

脳深部刺激術(DBS)の体験記のトップへ

DBS手術から7ヶ月後 by C.K.

復職決定の日(平成15年9月24日)

9月24日午後6時ごろに教育委員会の疾病審査委員会が私の復職を正式に認めるという主旨の電話が学校からはいった。『やっときた』という感じだった。最初の学校側の連絡では、この日に復職が決定すれば、仕事の引継ぎをすることになっていた。前夜から緊張して眠れず、朝から化粧して、スーツを着て、ずっと学校からの連絡を今か今かと待っていた。重苦しい午前の時間が過ぎ、午後になった。気をまぎらわそうと落語を聞くが、ちっともおもしろくない。笑えない。
午後3時を過ぎても連絡がない。
『連絡が来ないという事はどういうことだろう?』段々不安になってきた。
『休職する前、妄想、幻聴がすでに出ていた私の言動がいけなかったのだろうか?』と、復職できるという自信が段々薄らいできた。
手術後も不眠の続いていた私は、その日の朝7時のNHKのニュース番組に出ていた仮面鬱病患者が、「不眠と体重減少が主な症状だった」と言うのを聞き、『もしかしたら私も、仮面鬱病なのかもしれない』と単純かつ影響されやすいので即思った。
『待てよ。体重は去年と比べると10キロ増えているし、だるさもない。でも不眠は続いている。睡眠薬のユーロジンは相変わらず、手放せない』
思い切って、今年、第一回リリービューティフルライフアワードの支援者部門を受賞された鶴田和仁先生のもとへ午後3時過ぎに転がり込み、「先生、私、寝ていても1時間おきに目が覚めるんです。仮面鬱病ではないかと思うのですが。抗鬱薬を出してください」と言ってみた。
妄想、幻聴が出ていたとき、統合失調症(以前は精神分裂病といっていた)の薬のセロクエル(この薬の副作用で死者がでている)、同じ病気の薬のジプレキサ、抗不安薬のコンスタン、ベゲタミン、など向精神薬で、パーキンソン病がいっきに悪くなったのを経験し、向精神薬がパーキンソン病を悪くするのは、痛いほどわかっているにもかかわらず、言ってみた。
鶴田先生は、「抗鬱薬はパーキンソン病を悪くするんですよ。でも、不眠が続くようだったら、精神科に行きましょう」と言われた。
とんでもない!昨日は長時間効く睡眠薬のユーロジンを飲まなかったので、眠れなかっただけですよ。大体、体重減少もないし、毎日食欲もあるし、そんなはずはないですよ』と心の中で叫んだものの先生には 「はい」と一言で応えた。
「パーキンソン病が悪くなりますよ」の一言で私の『仮面鬱病ではないか?』と自ら自分を疑う気持ちもどこかに吹っ飛び、また笑顔が戻っていた。
手術してくださった武内重二先生は、「人間は3日に1日寝ればいいんです。4時から6時まで集中して寝れば大丈夫」と言って下さっていた。 
午後5時になったので、病院から、学校に電話をいれてみた。
事務長が、「まだ連絡がはいらないんですよ」と言われた。
『こんなに元気な私が復職できないはずはない。自分は仮面鬱病ではない』と自信を持った私は、「まだ、連絡がはいらないんですか。あはははは」などと会話の最後になぜか不遜にも高笑いをしていた。
病院を出た私はデパートに行った。そこで通勤に必要なストッキングを買った。
この時点で『復帰できるのは間違いない』という確信があった。
自宅に戻ると、父親が、「学校から連絡がはいったぞ!」と即座に言った。
家にはいり、学校に電話すると、事務長が、「先生の願いどおり、復職できることとなりました。おめでとうございます」とおっしゃり、本当にほっとした。
手術でお世話になった武内先生にさっそくお礼のメールを送った。先生からメールのお返事がすぐに届いた。自分のことのように一患者のことを考えて心配し助言してくださる先生のことを思うと、いっきに元気がでた。
『パーキンソン病を治すぞ!仮面鬱病なんかじゃないぞ!』といつのまにか強気の自分がそこにいた。
それでも、連続した時間睡眠がまだ取れないで不安だった私はユーロジンを飲んでその日は寝た。
翌朝、不思議なことだが左指と左足の状態がよくなっていた。
ユーロジンを飲むとなんとか眠れ、体の調子は確かにいい。
パーキンソン病は睡眠を取れば進まないのではないかと思ったりもする。
それと気持ちや心の持ちよう、ストレスが大きく影響する病気だと思う。
精神病にかからないことがこの病気を悪くしないためには大切なことだと切実に思う。    
薬の副作用で、幻聴、妄想を体験し、さらにその副作用を抑えるために飲んだ薬のせいで、パーキンソン病が悪くなった経験から、これだけはお知らせしたい。
幻覚、幻聴、妄想が出たら、精神病だと思わずに、まずは自分の飲んでいるパーキンソン病の薬の副作用ではないかと疑って欲しい。そして、それを医師に告げ、どの薬の副作用かつきとめてその薬の服用を止めてほしい。容易に向精神薬に手を出すのはお勧めできない。
DBSの手術後も薬の選択には充分な注意が必要である。
さあ、これからが本格的な舵取りの開始だ。慎重にしなければ!


C.K.

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